SUPERBEE
http://hiphople.com/interview/16732846
4月に公開されたSUPERBEEのインタビューを訳しました。
しゅぱびくんといえばいつもSMTMに出ているヤンチャで癖の強い奴で何とも思っていなかったけれどそんな彼もいつのまにかそのSMTMで名を上げて人気ラッパーの仲間入りし、気づけば会社設立までして立派になって…。とただただ感慨深いですしどんどん魅力的な人になっているなぁと去年くらいから注目しています。
ラップが上手いのよほんとに。韓国のラッパーではしゅぱびくんとオンエデュは生で観る価値がある。顔のいいラッパーが好きな私ですが人間顔じゃない、ということを分からせてくれる。彼らのステージには顔以上の価値がマジにあります。
とにかく金・金・金についてのリリックが多い彼だけど、それについての考えも読めます。しゅぱびくんは結構理性派のミュージシャンなのかな、と感じました。まぁこれだけタイトなラップに頭が回るのだから勿論なのかもしれませんが。
努力家だし研究熱心だしマメ。
この動画でお家が出てくるんだけど↓オンエデュんちは汚くて着たブランド物放り投げて腐らせて(笑)いるのに対して、しゅぱびくんはウォークインクローゼットでしっかりキレイに洋服管理しているんです。
これに全部出ているような気がしてならない…。こういうの惚れてしまうわ。
さて、前置きが長くなりました。
私はアメリカのヒップホップ全然詳しくないのであまり注釈とか付けてないのですがわかる人にとってはふむふむという内容なのかも。意訳&こうであって欲しいな訳が健在の自己流翻訳なので気になるところは原文をご確認ください。
面白いので最後まで読んでいただけたらうれしいです。
あとこの写真が好きだな!!いい顔してるんだよなっ
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これまで見せてくれた活発で大胆なイメージとは違って、2020年のスーパービー(SUPERBEE)はどこか違う雰囲気を持っていた。これは、新しい正規アルバム[Rap Legend2]でより明確に表れている。トントンと弾むような歌詞で聞き手をニヤリとさせることに長けた彼は真摯な歌詞で武装してシーンを狙っており、滑稽さが感じられた以前のプロジェクトとは違ってサウンドも息つく暇がないほど冷徹だ。
一体どんな理由だったのだろうか?2017年の[Rap Legend]から2019年の[Rap Legend2]を出すまでスーパービーはどのような変化を遂げたのだろうか?ヒップホップLEが直接スーパービーに会い、 [Rap Legend 2]と2020年の全てについて話を聞いてきた。(スーパービーのインタビューは映像と書面の両方で確認できます。)
久しぶりのインタビューになりますが、ヒップホップLEユーザーやヒップホップファンに挨拶をお願いします。
こんにちは、ヒップホップLE会員の皆さん。ラッパー・スーパービー(SUPERBEE)と申します。
2018年まで正規アルバムを活発に発売していましたが、去る2019年には個人のキャリアを少し止めていたように思います。いうなれば再整備の年に近かったんでしょうか?
僕の2019年というのは…ヤングアンドリッチレコーズ(Yng & Rich Records)を設立してある程度会社の仕事に集中していたんでしょうね。会社の仕事がとても忙しかったし、ヤングアンドリッチレコードだけのイメージ構築などのテーマについてとても悩みました。それで2019年は[Catch Me If You Can] EP1つとシングル“Bust Down AP”, “Heu!”以外は(個人的な)活動はほとんど無かったんです。
おっしゃる通り、ヤングアンドリッチレコーズのリーダーとして熱心に活動された一年だと思いますが。実際にレーベルで事務的な仕事もかなり担当されてるんですか?
そんな感じですね。どうしても計画だとかこういうことをしてみようとか、ああいうことをしてみようとかいうと僕の影響力が大きくなってきますから。
スウィングス(Swings)さんは最近社長職を辞めましたよね。それだけ気を使うことが多くて重い席ということなのでしょうが、スーパービーさんにとってレーベルリーダーとしての人生はどうですか?
今のところは面白いです。会社を作ってから1年くらいしか経っていないのでこれからが始まりだとは思いますが。それでも全般的にすべて面白く受け止めています。 それに僕は最初からレーベルメンバーには全く関与しないんです。 まるで大関嶺*1で牛を牧場で放して飼っている感じ?なのでお互いにストレスを受けることも あまりなくて良いと思います。
また、知りたいことは、韓国のヒップホップレーベルはメンバー達が普通似たような音楽的カラーを持っているじゃないですか。 ヤングアンドリッチレコーズも追求する特定の音楽的方向性がありますか。
そうですね。僕たちがする音楽的なカラーに合わせてこそ、(ヤングアンドリッチレコーズとして) 一緒にやっていけると思います。ヤングアンドリッチレコーズが追求するイメージを基礎的に構築したと思うアルバムが"Catch Me If You Can"EPですが、これからもどんどんアルバムがリリースされてイメージがさらに固まってくると思います。
最近は、ユシオン(YUZION)さんがレーベルに合流したりもしましたね。ヤングアンドリッチレコーズは今後、積極的にメンバーを迎え入れる計画ですか?
ああ、私もそうしたいです。 本当に迎え入れたい人が多いですが問題はみんなすでに会社に入っているということです。 会社に所属していないラッパーの中にはそんなに気に入った人がいなかったんですよね。なんだか、(シーンで)新人たちに接することのできる登竜門がたくさん消えつつある気がします。そのために僕が見つけられなかったのかもしれませんがそう考えると僕は時代に恵まれたラッパーだったのかも。そこにまた感謝することもありますが。
新人を発掘しようとディギングなどもよくされる方ですか?
そういうのよくやります。 最近はサウンドクラウドよりYouTubeをたくさん見ています。新しい人達のをたくさん聞いて。歌詞を書かない時は普段ディギングしたりします。
ヤングアンドリッチレコーズのYouTubeチャンネルで明らかにしたところによると、海外旅行を1ヶ月ほどしてから色々考えたそうですね。 具体的にどんな心境の変化があったのでしょうか。
"Heu!"でも言及したことです。 アルバムをなぜ出すのか、(良い)歌詞をなぜ書くのか。それだけ音楽をやりながらフッと「賢者タイム」*2が訪れたんですよ。それであまり作業したい気持ちもなくなって“문제아”のような曲が成功するのを見ながら、さらに音楽がつまらなく思えてきたんです。真剣に作る音楽よりこんなにインスタント式で、刺激的な音楽の方が上手くいくんだなって。それで「賢者タイム」が来たんですけど、海外旅行をしながら「でも僕がやることは音楽だ」という考えが固まってきて。 そうして作業に入ったアルバムが [Rap Legend 2]でした。
確かにしっかり決めて作ったアルバムだと感じました。今回のアルバムの作業中はわざわざ特別な対外活動もしていなかったとようですね。SNSアカウントもしばらく無効な状態だったと思います。
はい。アルバムの発売日が近づいてきて残った時間、もっといいアルバムを完成させなければならないと思ったんです。そうするためにはどうすればよいか。(結論は)インスタもせず、何もしないようにしよう。そのようにインスタから距離を置いて、作業だけに没頭したんです。 残り2週間くらいのラストスパートで。
ここからニューアルバム [Rap Legend 2]に関する話を本格的に始めましょう。まずアルバムについて簡単な紹介をお願いします。
[Rap Legend 2]はスーパービーの個人的な敍事が一番多く含まれたアルバムだと思います。一番正直なアルバムです。今までのアルバムではある程度自分を隠しているところがありますが、今回のアルバムではペディンを1枚脱いでレコーディングしたような感じ?
リル・ウージー・ヴァートが"Kim Hoonki Vert (Skit)"を聞いたらどう反応するでしょうか?
ああ… 告訴だけはしないでほしいです。 完全にマネしてたからそれ… (笑)
それでは各収録曲に関する話に進みます。 最初のトラック"RL 2!NTRO"はイントロトラックらしく アルバムのメッセージと雰囲気を圧縮して盛り込んでいるトラックだと思います。 曲の中の「金の自慢しかできないという言葉で僕の価値は貶められた」というラインが今回のアルバムを代表するキーワードでしょうか?
僕が思うに今回のアルバムのキーワードは“거울”で書いたラインではないかと。金の話がなければヒップホップじゃないっていう。一つを選ぶとしたらそれが僕の今回のアルバムのキーワードだと思います。
2番目のトラックである"Very!"は"RL2!NTRO"の雰囲気をそのまま引き継ぐタイトル曲です。最初のトラックよりも深い感情で引退の暗示まで盛り込まれたトラックですが、実際に引退を考えておられるのですか?
実は個人的には引退という単語を口にするほどには、僕が成し遂げたことはまだないと思います。少しやりたくないことはありましたけど。僕が思うヒップホップと他の人たちが思うヒップホップとに乖離がありすぎるから。もちろんこんなヒップホップが正しいとかいうことはないですが、僕は個人的にヒップホップに対する理解度が本当に高いと思います。かなり前からヒップホップを聞いてきて、ラッパーたちのドキュメンタリーや一生のようなものもたくさん見てきて。 それでも依然として意見の相違を狭められない人たちも多いので辞めたいと思ったこともあります。
なんか、僕へのリスペクトももしかしたら不十分なリスペクトかもしれないと思いました。その人たちがどのくらいヒップホップに理解度があるかなんて分からないわけだから。韓国のヒップホップシーンではテレビ出演もあまりせず、音楽だけである程度リスペクトされる人もいますよね。そうするとそういう人たちは自分へのリスペクトへ100%確信が持てるのかな?とか考えました。そのヒップホップに対する(リスナーたちの)理解度が全般的に落ちるのが事実だから。ちょっとそういうところから来る「賢者タイム」がありました。
成果物に対して正しく認められられることが必要ということでしょうか?
認められることに対する欲求そのものがありませんでした。称賛されても何か疑ってしまって「これ本当にちゃんと理解して拍手してんのか?」と思いました。僕のファンに至っても。
こういうテーマを最近扱ったラッパーとしてはジャスディスさん*4が思い出されます。 実際にジャスディスさんは活動を縮小した状態でもありますが、スーパービーさんにもこのようなキャリアの実質的な変化は今後あるのでしょうか?
僕が音楽をするのは'自己満足'が一番大きな理由です。リスナーのためではなく僕が中学の時から一番好きな趣味であり人生だったので。 活動を縮小したりすることは絶対ないでしょうね。
さらに“떠나야”の中で韓国ヒップホップシーンの ‘OG’たちをシャウトアウトしたことも印象的でした。こうしたOGたちと一緒に名前が挙がるのがスーパービーさんの最大の目標の一つでしょうか?
ええ、そのように認められたいですよね。僕が引き続き‘ラップレジェンド’を標榜するのもそういう理由です。本土で‘レジェンド’といえばThe Notorious B.I.G.や2Pacが挙げられるでしょう。 僕はそんな人物になるのが目標です。 韓国のヒップホップシーンがどれだけ大きくなっていくかは分かりませんが、後でそんなふうに自分の名前が呼ばれたらと思う気持ちがあります。
また僕が思うに、韓国ヒップホップにはOGたちをシャウトアウトする文化があまりありません。そこで考えたのが、これを僕がいまやって影響を受けたOGたちをシャウトアウトすれば他の人たちがあとでこれを見て僕の名前を呼べるんだと。それでやったっていうのもあります。正直、内心「俺傲慢かな?」と思ったんだけど…ヒップホップのためにやろう。ということでそのままやってしまいました。
また、他のラインの中にはThe Quiettさんの曲("Boys To Men")から取ったような部分もあるんですよ。(「お前たちは知らない どれだけ難しいか、悲しいか、そして汚いかを」)
はい、僕も書いてから気づきました。忘れてたんですけど、The Quiettさんのアルバム [Stormy Friday] を一時期最高の韓国ヒップホップアルバムだと思っていました。それで思わず…オマージュしようと思ったわけではないけどそうなったんでしょう。発売してから気づいて。無意識にやってたんですね。元々すごく好きな曲だったから。
事実The Quiettさんから受けた影響も大きいでしょうし、スーパービーさんとイリネアレコーズ(1llinonaire Records)の縁は実に深いじゃないですか。スーパービーさんにとってイリネア・レコーズは果たしてどのような存在なのでしょうか。
イリネア・レコーズは僕を形作ってくれた方々です。*5Dok2さんがロールスロイスを買うのを見て「わぁ!ヒップホップってあんなに格好いいムーブメント見せてくれるんだ」と思いましたし、音楽的にも本当にかっこいいヒップホップがなんなのか見せてくれた人たちですよね。そして僕のアティチュードも作ってくれました。偽のダイヤは着けない、Fake Flexingしない。‘底辺から這い上がってここまで来た’これはある意味ヒップホップの基本的なマインドセットですが。これを完全に韓国ヒップホップに移植してくれたのが(イリネア・レコーズの)兄さんたちだと思います。
少々デリケートな質問になりますけれど、Dok2さんが最近イリネア・レコーズと決別されたことに関してどう感じているか気になります。
とりあえずショックが大きいというよりかはある種の新たなスタートなのではないかと思いました。Dok2さんもインスタグラムを見るとアメリカで一生懸命ラップされていてそれなりに何かしようとしているようです。そう思えば…ショックを受ける程のことではないと思います。
次のトラックである“MUD BOY”についての話を続けましょう。このトラックの中では先ほど話題に上ったDok2さん、そしてSean2slowさんに言及しました。今スーパービーさんの記憶の中にはいつからいつまでの国内ヒップホップシーンがはっきり印象に残っているか気になります。
一応“ソウルカンパニー”の時も憶えてて。Dok2さんが盛んにミックステープ出してた時。イリネアを設立する直前のDok2さんのことがたくさん思い浮かびます。Drunked Tigerが活動していた時期はたしか小学生だったのでヒップホップが何かもよくわからなかったんです。正確に覚えてるのは2008年くらいからかな?ソウルカンパニーの"オーバークラス"というグループが一番好きで、その時の韓国ヒップホップがすごく面白かったです。
とにかく韓国ヒップホップシーンについて絶えなく関心があって“MUD BOY”の歌詞のようなリファレンスができたのではないかと感じました。
そうですね。最近あまり使われない歌詞じゃないですか。なんかそのようなことを考えました。ラップが上手いことを表現したいけど、これを本当にヒップホップが好きな人だけに分かる暗号にしないとと思って。“2001年Sean2slow”、“Dok2デビューの時”これを合わせたようなオーラが見えるって書けば昔からのヒップホップリスナーは「わぁ、スーパービーこんな歌詞を書くの?」と思うかもしれない。それでこんな表現をしました。
こういう歌詞は過去のヒップホップ音楽に対する知識がなければどうしても使えない歌詞ですよね。しかし、世界的な流れを見るとだんだんと以前の音楽に触れなくてもすぐにトレンディな音楽を始められるシーンに変わってきているようです。このような流れについてどう思いますか?
特にどうも思わないです。僕は決してコンデではないし、オートチューンやシンギングラップの流れに対して否定的な意見はありません。僕はむしろ好きでたくさん聞きます。すべて受け入れるべき流れだと思って合わせていかなければならないですね。
最近はどんなミュージシャンを好んで聴いていますか?ファンの方々におすすめしたい曲もありますか?
僕はアメリカのアップルミュージック*6を使いますけど、そこのジャンル欄を見ると<The Plug>というプレイリストがあります。それを聞くと今新鮮な曲が全部出るんですよ。それを聴いてみることをおすすめします。
次のトラックについてお尋ねします。4番トラックの “양아치"はアルバム発売日時点では非公開ですけどもどんな理由で?
この曲はヤングアンドリッチレコーズ特有のスタンスが本当によく表れた曲です。 アルバムの中の収録曲にしない方がよりよく目立つかもしれないです。だから収録曲から外しました。近いうちに団体曲として発表されます。このインタビューが公開される頃には出ているでしょうね。 “양아치" たくさん聞いてください。
5番トラック"Selfmade Orange 2"は大人気だったトラック"Selfmade Orange"の後続曲です。 どんな過程を経て作られたトラックですか?
一度アルバムの序盤を作っていた時に"Selfmade Orange 2"を作ったらどうかなぁと思いました。1がチャンモのアルバムに収録されて、2は僕のアルバムから発売したら面白そうだと思って自然にそうしました。"セルフメイドオレンジ"という表現自体も僕の正規2集[Original Gimchi]の "Cuz I'm Happy"という曲からが始まりでした。それをチャンモが聞いて曲を作ったあと僕に共演を打診してきて出た曲です。
一定のファン層がスーパービーさんとチャンモさんの組み合わせがひどく好きなような気がしますがね。個人的に一番ピッタリだと思うラッパーは誰ですか?
チャンモは言うまでもなく今回一緒にしたジャスディスさんもそうだし、UNEDUCATED KIDもそうだし…。大体誰とでもよく合うのではないでしょうか。思うに、「この人上手いわ」という印象を受けてコラボを考えて音楽を作ると、ある程度シナジーが出る曲が出来るみたいです。誰か一人を選ぶのはちょっと難しいです。
私たちがチャンモさんにインタビューをした時には "チャンモ&スーパービー合作プロジェクト"がお互いに忙しくて延期されていると聞きましたが、今も似たような状況でしょうか?
そうですね。僕もアルバムを出したばかりだしチャンモもツアーとかの活動で忙しいですから。 いつかは出るでしょ?ファンと約束したのでいつか必ず出るはずです。 完成度は秘密にします(笑)
次は“Give No F”について。驚くことに似たようなタイミングでmigosが同じタイトルの新曲"Give No F"を発表したんですよ。
はい!それは僕もすごくびっくりしました。僕の曲のフックも‘Give no f**k’の繰り返しなので僕が先に作ったのに盗作疑惑が提起されないか心配しました。幸い、そんなに似ていなかったです。
“Give No F”はJuvie Trainさんの参加が目立つトラックですよね。どのような成り行きで制作されたんですか?
Juvie Trainさんに初めて会ったのは3、4年前です。その時連絡先を交換して“Give No F”を作りながら新鮮なフューチャリングが一つあったらいいなと思って(彼が)思い浮かびました。一番合いそうだと思って。Dok2さんが出した“비스듬히 걸쳐”でJuvie Trainさんが凄く印象的なバースを披露して盛り上がりましたよね。今回もそういうことを期待してジュビさんにフューチャリングを提案しましたが、快諾していただいてとても満足しています。
他の候補もいましたか。韓国のヒップホップシーンの"OG"を意図的に招待したような気もしました。
そうですね。ちょっと “연결고리”みたいな感じ?レイ・シュリマーとジューシー・Jが一緒にやった "Powerglide" みたいな感じを出したかったんですよね。
UNEDUCATED KIDさんは今回のアルバムで "Give No F"1曲でだけ姿をあらわしましたが、もしかして一緒に作業したのはこれだけですか?
はい。最近は各自の曲に熱中してましたから。ですが [Catch Me If You Can]はたったの6日で作ったアルバムです。彼とはフィーリングを合わせるだけでさっと何かを作れてしまうでしょう。
その後の2つのトラック、“I Go Flex”, “물에 빠져”はメロディカルな要素も手伝って前のトラックよりより大衆的な印象を受けました。先ほどからのお話を伺っていると、これからはこういうむしろ大衆的と言えるトラックのものが増えそうです。
そうですね。でも僕は個人的に今回のアルバムがヒップホップファンたちにとっては実に大衆的に聞こえるのではないかと思います。もちろんめメロンチャートの上位になっているバラードとかそういう音楽を聴く人にとっては大衆的ではないでしょうけど。
ただヒップホップというジャンルの中ではとても大衆的な反応をされるに値するアルバムになったのではないかな。でも「今回のアルバムは大衆性クソ喰らえと思って作ったんでしょ」という方もいて気持ちが…そーっすねぇ。そわそわします。いいんですけど「あぁそう思ってる人もいるんだな」と。とにかく結論としては、僕の出してきたアルバムのなかではナンバーワンです。
私たちが聴いたときも物凄く米国ヒップホップシーンのメインストリームサウンドを聴いている感じを受けました。そのためか [Rap Legend 2]からミック・ミルの音楽を感じるという反応もあります。
実際今回のアルバムではフロウ作りにおいてアドリブの所がすごく多いんですよ。[Rap Legend 1]の時はただ掴み取ったものを注ぎ込む感じだったけど、今回のアルバムはアドリブをかなり取り入れました。だから同語反復アドリブみたいなものがそのような印象を与えたんじゃないかな…それに僕の声がすごく変わりました。少し成熟した声になったんだけどそこで鋭いラップをしてみると声の類似性もあったんじゃないですかね。
一番ミック・ミルみたい、とフィードバックを受けたのは “MUD BOY”だったけど、この曲は事実ミック・ミルにビート提供したプロデューサーのDPビッツが作った曲でもあるし。 なので自然にそんなバイブが出てきたんじゃないかと思います。正直そんなビートではこうやってラップをするしかないんです。
でも確かにスーパービーさんは差別化されていて‘下位互換’な感じは全然しないように思います。スーパービーさんは歌詞で韓国的な表現を特に好んで使うラッパーですね。 "師任堂(サイムダン)"、"オレンジ族"などの言葉です。
ええ。どうしてもそっちの方が面白いもん。でも理解できないって人もいます。そういうスラングが分からなくて誤解される場合もあるけど…とにかくなにかひとつ、少しでも新しくしたいんですよね。僕というキャラクターが作り出す武器のひとつだと思います。
アルバムの中核となるトラックの一つ、“거울”に関する話もしない訳にはいきません。ジャスディス氏との共作はどのように進められましたか?
まず、その曲には僕のバースが2つあるんですが2つ書いておいてから誰にフューチャリング依頼するか考えました。強めな人を出してフューチャリングして欲しいなと思って意外な人を探している中で、イグニート(IGNITO)さんに聞いてみようかな?と思いました。決して誰にも予想がつかないようなものを描こうとしました。そのように悩んで、最終的にジャスディスさんとやるのが最もしっくりくると思ったんです。
それに、1~2年前から「ジャスディスとスーパービーは仲が悪い」、「お互いに暗黙のディス戦をしている」というような噂が流れていました。事実じゃないんです。2年前かな?偶然ジャスディスさんの作業室に遊びに行ってちょっと話をしたことがあるけど… 韓国のヒップホップについて真剣な討論*7をしました。その後2年経って一緒に作業することになりましたが、とても素晴らしい選択でした。
ジャスディスさんは元来ラップの実力で非常に大きな支持を得ているミュージシャンなので、参加した曲ごとに各ジャンルのファンがラップの実力について論争をしているようです。スーパービーさんは“거울”を作りながらジャスディスさんに競争意識を感じましたか?
いいえ。僕がバース1とバース3を全部書いておいてジャスディスさんに送ったので、 ジャスディスさんのバースをもらって僕のバースを修正しようという考えは特になかったです。ただ、ジャスディスさんはビートを止める効果を沢山使ってくれました。ビートが短くなったり流れなくなったり*8するじゃないですか。それをすごくたくさんやったんです。だから「兄さん、MSG強く入れてくれたわ~」と思って「そうか、僕もMSG強めに入れるようにお願いしよう」と思ってサウンドを修正しました。そういうのはありました。ビートドロップ闘争。誰がよりビートドロップをきれいにするのか?(笑)コンピューターの戦いでした。
スーパービーさんはキャリアの初期には競争意識を物凄く持っているキャラクターとして映りましたけど、今はどうですか?
以前はあったんですが、今はありません。今は僕がどうやって生きていくのかどうより良い人生を生きていくのか、そういう悩みしかないと思います。また"거울"もそうだし"Selfmade Orange"もそうだし“誰がより上手いか”に関して論争が生じる曲について僕は全部趣向の差だと思っています。
おっしゃったように、‘どうすればもっと幸せになれるか’に対する悩みが、"TT Way"によく表れているようです。少し真剣な悩みだと思いますがどの程度答えを見つけたと思いますか?
まだ見つけられなそうです。どんなに良いものを買っても、どんなに高い車を買って、どんなに高い時計をつけても、何か世俗的な振る舞いをしてもつまるところ結局なにも感じないんです。なので「そう考えなければ見つけられるのでは?」という考えに変わっています。ずっと永遠のものを探そうとしたところで、いま何がわかるっていうんでしょうか。それよりこの(キャリアの)先に何があるのか知りたいですね。
僕がいつまで音楽をするかは分からないけどちゃんとデビューしてから4~5年くらい経ったですが。その4年間で僕の人生は本当にたくさん変わったんです。だからそんな期待はあります。これからだいたい7年後、30半ばになって僕の人生はどう変わっているのか?そんな期待はあります。まず永遠なものを見つけるためには1日1日を良くしていかないといけないと思います。1日1日でも階段を上り続ければ最後には望むところに着くのではないか?そう思います。
悩む価値があり何よりも真剣なテーマです。こういう話を普段他の同僚の方々ともたくさんされるんですか?
オンエデュと、そして中学の時に僕と一緒にラップを始めたKidk Kidkとたくさん話しますね。マンションの同じ棟に住んでいるのでほぼ2日に一回一緒にご飯を食べて話しますね。
今回のアルバムで"Kidk Kidk"という曲で共演しましたよね。 ファンの方々が一番大きな関心を持っているトラックだと思います。このトラックはどうやって作られたんですか。
この友達と一時期5年くらい一緒に暮らしていました。僕はその時ある程度ラップでお金を稼いでいて彼はバイトをしながら暮らしていて。昼はバイトして夜は来て録音して。彼は最近もアルバムをたくさん出しました。でもあまりにも注目されないんです。本当にシーンが小さすぎて。彼は申し分ない音楽をやっているのに聞く人がいないようです。同じ友達ですがすこし気の毒です。
それで「駄目だ。今度お前、俺のアルバムでフューチャリングしろ。何か作ってみよう」と作ったトラックです。僕たちだけが出来るものを考えて、中学1年のころから今まで僕たちが一緒だったストーリーを曲に盛り込んだんです。事実作りながら「恥ずかしいと思われそうだけど、どうしよう?」とか思ったし少し時間がかかりました。感動したという人がたくさんいましたよ。Kidk Kidkと僕を知っている友達はこの曲を聴いて泣いたらしいです。ちょっと僕らには気まずいですけど。
さらに僕ら二人にOSTの仕事まで入ってきましたけど、そこでもスーパービーとKidk Kidkの調和をお見せできることでしょう。すぐ発売されると思います。
実際に"Kidk Kidk"を [Rap Legend 2]のベストトラックに選ぶ方も多いですね。
そうなんですよね。もちろん感動的な曲ですがこの曲がベストトラックになるのは正直残念です。僕が思うヒップホップは本当に熱くて、ハードで、残忍にハッスルするようなものなんです。だからこういう感情的であたたかなトラックがベストトラックになってはいけないと思います。
勿論良いと思って聴いてくださっっているから当然嬉しいですけど。僕が思う[Rap Legend 2]のベストトラックは"MUD BOY"です。この曲が僕が思う最も理想的な感じのラップ音楽だと思います。
この場を借りてKidk Kidkさん、もしくは他の同僚の方々の曲でおすすめしたい曲はありますか?
まず、Kidk Kidkのアルバムが最近出ました。僕の友達だから、音源サイトで1曲ずつ聴いてくれたら嬉しいです。最近はGGMレコーズ(GGM Records)の皆さんの音楽もよく聴いています。
先ほどいろいろな話をしながら気になったことがまたありました。外国のヒップホップシーンでは最近アルバムのデラックスバージョンを別に発表する場合がとても多いじゃないですか。スーパービーさんも[Rap Legend 2]のデラックスバージョンを発表するつもりはありませんか?
あ、これ秘密だったのに。ちょうど今デラックスバージョンを準備しています。めっちゃ鋭いですね?どうしてわかったの…最近Young Thug、Trippie Redd、Lil Uzi Vertのようなラッパーたちがみんなデラックスアルバムを出しているのを見るとデラックス風が吹いているみたいです。韓国のヒップホップシーンではデラックスがあまりなかったんです。
[Rap Legend 2]すごくダークだったので気力を消耗して今少し休んでいます。今年中に([Rap Legend 2]の)デラックスが出るはずです。もし出るようになれば2CDに分けて発売するのも手だと思いますね。
アルバムに関する話は全体的に終わったと思います。スーパービさんが考えた時に、今回のアルバムは十分に完成されたプロジェクトでしたか?
はい。僕個人としては今回のアルバムが(自身のキャリアの)ベストだと思います。ファンの方々はどう思うかわかりませんが、僕にとっては満足できるアルバムです。これからすぐに次のことをやらないと。
少し幼稚かもしれませんが、点数をつけるとしたら[Rap Legend 2]に何点つけたいですか?
うーん…10点をつけたいですが、これからもっと頑張れるように9点をつけます。 [Rap Legend 2]を作業しながら感じたのがこれがラップで埋め尽くされた最後のアルバムになるかもしれないということ。ご存知の通り、最近ヒップホップの流れもとても色々なことが変わったし、 ラップで満たされたアルバムを今じゃなければこれ以上できないと思って作ったアルバムです。
「俺、これよりラップが上手くできるかな?」とも思いますし、うまくいけば‘ラップレジェンド’シリーズの最終版になるかもしれません。それで今回のアルバムにもっと愛着がわいてくるような気もします。
それでは、これからのスーパービーさんの音楽はどう変化するのでしょうか。もし家庭ができたりしたら全く違う感じの音楽を作ることになることもあるのでしょうか?
家族ができる?(笑)そうですよね…でも分からないですよね。アメリカのラッパーだと奥さんがいて、ワイフが何人かいて、膝元に娘息子が居たりとかして。フューチャー(Future)のようなラッパーもそうですもんね。でも歌詞はクッソ汚いこと書いてたりしてますよね。ヒップホップってそういうものですよね。
それって「ワル」ですよね。僕はそういうのを見ながらヒップホップの「ワルい姿」をしっかり理解しているので。そんなに極端に変わらないと思います。(LE:音楽のキメは変わらないということですね?)はい、私が考えていることを続けるつもりです。私が考えた時、これが正しいと思ったことを続けるつもりです。
分かりました。最後の質問ですが、ヤングアンドリッチレコーズは今後1年間どのような計画をする予定でしょうか?まずスーパービーさん、アンエデュケイテッドさん、 twlvさんが全員上半期にアルバムを発表したんですが。
みんな制作意欲が旺盛です。シオンもフューチャーリスティック・スウェイバー(Futuristic Swaver)と作業したアルバムが4月中旬頃に多分発売されると予定です。年末まで継続して出していきますよ。僕はまず50曲を出すことが今年の目標です。(昨年)ハッスルするのを少し休んだから。他のメンバーはどうするか分かりません。僕は友人がしたいようにそのままにしておくので。権威的なのがとても嫌いです。友人たちが自らちゃんとやってくれると思います。
ヤングアンドリッチレコーズのコンピレーションアルバムの計画もありますか?
今のところは個々がより見せ場を作るべきだと思います。シオンやtwlvはまだ新鋭*9だから。本人たちの音楽でもっとたくさんアピールして、コンピレーションアルバムに関してはその次にやってみないと、と思います。
分かりました。残りの2020年のスーパービーさんとヤングアンドリッチレコーズに期待です (笑)最後にファンとヘイターに一言ずつお願いします。
僕が3年前にインタビューを受けた当時、ヘイターの皆さんにこのネックレスは5千万ウォンだと言いました(笑)今度は時計までしてきました。ヘイターの皆様。皆さんが僕を踏みつけても僕は堂々と前に進んで次のヒップホップLEのインタビューのときはこれを5個、10個とつけて参ります。
そしてファンの皆様には本当に感謝しかありません。実は僕は表現が下手です。両親にもそうだし、愛しているという表現がうまくできなくて…。今日はします。愛してます。今年、30曲以上出してみます。スーパービーでした。ありがとうございました。
*1:韓国江原にある峠。のどかな感じです。https://www.expedia.co.jp/Daegwallyeong.dx6335622
*2:현실자각 타임(現実自覚タイム)または현자타임(賢者タイム)の略。醒めて現実に引き戻されてしまうことや、急に鬱々とした気分。冷静になり省察するにいたる状態などを指す表現である。日本語派生のような気もする…
*3:意識的に。意識してやるさま。今回のスーパービー君は真摯な感じを意識的に出したということですね。
*4:ヒップホップLEジャスディスの話するの大好きマン。本人にインタビューしてくれ。リリースがないから無理??
*5:いい話です。スーパービーくんがブランド物FLEXするのはまずここにルーツがあったと。
*6:うわー勧める気ある???
*7:ジャスディス様はあらゆるラッパーにこの問答を吹っかけているのではないか。熱そう。
*8:1:47辺りのことですかね。ビートを止めたりスライスしたりとか操作が大変そう。MSGは何の略語かわかりませんでした…
*9:twlvは93line、スーパービーくんは94lineだけどtwlvが出てきたのは2018年ごろから。