翔んで〇〇!

独断と偏見、散文詩

修飾語が必要ない、修飾語のないノエルの話

修飾語が必要ない、修飾語のないノエルの話

 

hiphopplaya.com

 

 HIPHOPPLAYAのNO:ELロングインタビューを訳してみました!

昨年7月のdoubleonoel出した直後の記事です。翻訳機にぶちこんでザッと読んでみてこれは…!と思ったので年末年始に訳したいなぁと思い、結構な時間がかかりましたがついに終わりました。

自分が読みたくて訳したものなので文脈が良く分からないという読者は原文をご参照ください。少し注釈もつけますが、ただのギャワイイ~!って叫びだったりするのであまり参考にならないかも。

とっても長いけど、ノエルくん好きにはたまらないノエルの話。

doubleonoelやリンクの音楽でも聴きながら読んでいただくと楽しいです。

私の独断でインタビュー中のノエルくんの一人称は「僕」にしたぞ!!!

 

 

 

 

 

 

長々と導入部を書くよりも必ずお読みいただきたい。

ノエルというラッパーを好きであれ嫌いであれ彼の名前を聞いたことがあるならばこのインタビューは是非最初から最後まで読んでほしい。いつのまにか2番目の正規アルバム[DOUBLEONOEL]を発表した彼の話を聞いた。

 

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はじめに、第2の正規アルバム[DOUBLEONOEL]を発表されましたよね。2枚の正規アルバムを発表されましたけどもしかして特別な所感のようなものがあるのか気になります。

 特に、正規アルバム発表に関しての所感はなく。ただ僕がしていたことをしただけで、ファンの関心を集めて、愛されるアーティストとして(ファンと)僕が約束したことを守ったアルバムだと思います。(そして)なんか今回は楽に作業をしました。今回のアルバム作業しながら親友へ恨みを晴らす感じでした。

他の人が気になることに対して答えたというより自分の感情について率直なアルバムだったんです。だからとても楽しく作業できたと思います。

 

確かに、前の正規アルバム[ELLEONOEL]を作業する時に比べて受けるストレスが違ったんでしょうね?

 はい。今回は確かに(少ないです)。[ELLEONOEL]の時はリスナーが知りたがる部分について答えてみましたが、今回はもっと僕がしたい話を主に書いたので前回より不安のようなものが減ったみたいです。

 

ノエルさんのキャリアの初期に触れてみると、ジャメズさんの“17(Remix)”に参加したじゃないですか。個人的にはノエルさんに初めて接した曲だったんですけど、参加はどのような経緯でされたのか気になります。

ジャメズさんのメインプロデューサーとしてダックスフッドさんがいました。その当時僕は他のラッパーたちをよく知らずほぼ面識がなかったのですが、元からダックスフッドさんのインスタグラムをフォローしていました。僕がアルバム作業する時に、もしビートをちょっと送って貰えればと思って先に連絡をしてみました。(そして一日経ち)寝て起きたら「会いたいのでご飯行こう」とダックスフッドさんがDMをくれました。

そしてダックスフッドさんの車に乗って梨泰院に行ってケバブを食べてダックスフッドさんの作業室に行ったら、ジャメズさんが寝ていました。*1そこでジャメズさんと挨拶をして(作業室に)いたら、ジャメズさんが突然「ダックスフッド兄さんが“17”リミックスを元高校生達とやろうとしてるんだけど、やれる人いる?」と言ってきたんですよ。ひとまず僕がやりたかったんですが他の人でも(推薦できる人が)いるのかと聞いてくれました。

この時、高等ラッパーの撮影をしながらホンウォニヒョン*2と親しくしていたし、ラップも上手いのでホンウォニヒョンを推薦しました。そしてその場でバースを書いて、家に帰って録音してすぐに送ってその1ヶ月後に出たトラックでした。

 

 

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高速作業でできたトラックだったんですね。

その次に、前後にプライムボーイさんのアルバムにフューチャリングされた[付録](というアルバム)で披露された“금수저 ”や“그 나물에 그 밤”などの曲はどれも個人的に歌詞が印象深かったんです。さっき申し上げたようにリスナーが気になっている事について答えてくれているみたいで。単純に率直だとか直接的だ、という表現だけでは説明するのが難しいエピソードをよく解き明かしてくれる方だなという印象を受けました。

2曲を作業しながらとんな感情を抱いたか知りたいです。

 あの時はまだ「高等ラッパーという枠組みから脱しなければ」というのが(考えが)あって、より他のものを見せたかったんです。だからむしろ第1集は誇示しようと出した傾向が無くはないです。

それで他の高等ラッパーたち、高等ラッパーと言うのも面白いけど。番組に出た人たち、あるいは番組で競争していた人たちと(音楽的に)違うキャリアを見せなければと、このフレームから脱出してこのシーンの柱になるアーティストになりたくてただ1歩早く動いたんだと思います。

(そして)その作業を行うころ、リスナーたちはとても僕について気になることが多くあったのでしょうが、僕もその当時の高等ラッパーが終わってSMTM6に出る前まではとても慎重にしていました。人々がした質問に対してインタビューもあまり受けず、答えることもしなかったんですが、[ELLEONOEL]をゆっくりと聴くとどんな風に音楽を始めたのかなど様々な内容に対する答えが込められています。SMTM6前から作業していたアルバムなのでもっと人々が気になっている点にフォーカスを合わせて作業したと思います。

 

それで、そうですね、確かに初の正規アルバム[ELLEONOEL]は詰まっている気もするし、トラックごとに重複する話がひとつもなかったです。

ところで、初めて音楽をしようと思ったのはいつでしたか?

 僕が初めてヒップホップに触れたのはオケイションさんの“탑승수속”を通じてでした。

SMTM2のブーム真っ盛りの時でした。また、DPR Liveさんがサウンドクラウド上で活動していてパロアルトさんから提供されたビートで活動していました。パンチネロと一緒に作業した曲ですが、そういうものを聞きながらサウンドクラウドに高い関心を持っていました。そしてまた、(サウンドクラウドを通じて)よく聞いていたラッパーにはクンディパンダさんなど数人いました。Melonのようなところに正式にに音源を用意して出すよりはどう見ても侵入障壁が低いでしょう。そういうラッパー達を見ながら僕もこうやって(したいと思っていました)。

そして、あの時コードクンストさんの、[CRUMPLE]*3というアルバムが出た時だったけど、メイキング映像みたいなものをYoutubeでたくさん見てました。それで、映像を見るとみんな家で1人で作業するんですよ。それで僕も普通に音楽を始めた子と同じく気になっていろんなビートを撮ってみて自然に始まった感じです。

 

では最初に音楽を始めた時から仲間と言える方々はいたんですか?それとも1人だったんですか?

 その時は本当に誰もいませんでした。1人で始めました。始めたっていうのも何ですけど。とにかく関心を持ってやっていたので他の人にも会いましたけど会った人も有名人ではなく、全部周りの人でした。

そうして最初に録音したのが “IDFWU (I Don’t Fuck With U)”という曲でしたね。

それであの時の(作業したもの)を聞いてみるととても新鮮な感じを覚えます。

全体的に聞いてみると荒っぽくてまぁまぁです。

 

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ノエルさんの曲を聞いてみるとプロダクションもさることながら、ラップの技術的な部分以上に歌詞も印象深かったです。思ったより現実的だなと感じたのですが、普段もそうなのか知りたいです。

 はい。非常に現実的な人間であり、理想主義者ではありません。(ある意味)少しもロマンがなく暮らしているタイプですね。ロマンを探してはいるんですけどどこに行くからといって簡単に見つかるものではないです。(それで)ただやってきたことをしているだけでそれしかすることがないんですよね。

正直、僕は19歳で、周りの人たちはみんな年上だし、そんな人たちが友達なので一緒に出て行ってやる事も特になく。それでただスウォンシティーボーイと座って、作業を続けて、お腹が減ったらご飯を食べて…というのが僕の生活パターンでした。

僕がわりかし有名になってからは、そんな生活パターンが続くようになりました。

 

作業をたくさんされるし、 [ELLEONOEL]に含まれる音楽的意欲も多くあったし…

アルバムのプロダクションのような場合にはどのように構想して具現化していくのですか。

 一応は感性*4をより働かせて追求していくタイプです。

こう言うとすごく抽象的で、聞いた人にはわからないだろうけど、僕はあらかじめアルバムの色を見つけるんです。色というのは、ブーンバップ・トラップ(のような音楽的特色)というのではなく。(色そのもの)

(僕は)オレンジ色なのか、緑色なのか、白黒なのかということに対してすごくよく考える人間です。[ELLEONOEL]のような場合にはこのアルバムはとても果汁があふれるオレンジ色のアルバムだと思っています。

そして僕が最も尊敬するラッパーの1人がカニエ・ウエストなのですが、カニエ・ウエストはアルバムをシリーズで出すのそうだし、蓋然性*5のあるトラックがとても多いじゃないですか。(それで)僕はアルバム作業をする時に、強制的に(そういう蓋然性を考える方で)アルバム単位で引き続き(作業したものを)発売する理由もそこにあります。

ある時は、アルバムの大枠を掴んで先にタイトルを決めることもあるし、ある時は僕に象徴的な意味を持つフューチャリングアーティストをアルバムの蓋然性とストーリーに合わせて入れることがあります。

でも歌のひとつひとつが(すべてに該当する)そんなことではなくて。

例えばスウィングスさんが[ELLEONOEL] 中盤にあるトラックの“그 나물에 그 밥”にフューチャリングしたのは(歌詞を見たらわかりますが事実)僕が最初にヒップホップシーン入るきっかけとして手を差し伸べたのはスウィングスさんで、そのような人をフューチャリングとして参加させたということ。

そんな象徴的なものを抽象的に表現したかったんです。そんな事にわざわざ深く入れ込まない人は「あ?いいね?」と言う人もいて「別にあんまり…」と言う人もいるはずだけど、ある意味では一つのアルバムを作るときにとてもたくさん考えてそう言う風にするのが僕の欲するところです。

それで僕は単発的なシングル単位の作品を出せないみたいです。

僕はキャリアやアルバムなどをすべてひっくるめて見るスタイル*6なのでシリーズにすごく執着していて(だからこそ)単発のシングルを選出しているとシリーズ的なものの色が若干鈍くなると思って、僕のキャリア上、シングルを多く出したことがなく、それが癖になったようです。

 

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アルバム発売以降、フューチャリングもたくさんされましたよね。コスミックボーイさんやキッドミリさんとよく一緒にいらっしゃったし、カナベイなど色んなラッパーのシングルやアルバムにフューチャリングで参加しました。そして、作品そのものが印象深いアルバムにとりわけよく参加したという感じも受けました。

フューチャリングトラックにおいて、自分の中での受諾する基準みたいなものはありますか?

 とりあえずトラックがよければOK。

(実は)拒否できないスタイルです。そうは言ってもトラックが良くなかったことがないし。でも断れないスタイルなので(スケジュールのため)「しないよ」(と断ったことはなく)大変でもどんどん。例えば時間が切迫していたのでムカついて文句を言ったことはありますよ。僕がメディアに映った姿は生意気で礼儀正しくないように見えるかもしれないけど、実際性格がきついってことはなくて、周りの人から連絡が来るか直接連絡が来た時「あ、やりますよ」と先に話すスタイルです。(そうしているうちに)どうにかして去年(たくさんのトラックにフィーチャリングで参加するようになったようです)。

それはとても良い選択だったみたいです。断れない性格が僕に良い作品を残してくれたようで、昨年フューチャリングをたくさんしたから毎週参加した曲が出るじゃないですか、とても楽しかったんですよ。それらをMelonでひとつひとつ聞くことなんかも面白かった。

 

フューチャリング作業みたいなことをなさる時も、曲に関与したり方向を提示する方なのか知りたいです。

 僕はわりとおおらかな性格なので(その部分で)頑固なこだわりはありません。

ただ依頼された部分を送ってくれて、残りはその方がまとめて送ってくれれば大部分をOKするタイプなので。フューチャリングするときは作品に大きく関与したことがないです。

 

それでは正規アルバムの間に発売された[18’S/S] のような場合には「空虚さ」と(アルバム紹介に)書いたように、虚しくて寂しいという感情をアルバム全体から感じたんです。当時はそんな感情を深く感じられたようですね。

 はい。僕が悪口を言われたときもそんなに大変だと思わなかったけど、そのときはそうでした。去年の11月、12月、今年の1月。3ヶ月は本当に大変だったんです。ちょうど高等ラッパーに出演して1年になるし、また僕が人気を得てちょうど1年になるときでした。年末になってから多くの考えを整理しましたが、振り返ったら見失っているものが沢山ありました。数多くの関係を逃してしまったこともあって、当時長く付き合っていた彼女とも別れましたがそんなものが僕に大きく迫ってきました。僕が失ったものが。僕が自分に関心がなかったんですかね?

自身の健康やどうやってちゃんと健全であるべきかについて全く関心がなかったし、ただ追い払わなきゃいけないことを片付けていく1年になって、僕は空虚な感じになりました。僕の隣に残っているのは家族、スウォンシティーボーイ、指折り数えられるくらいの友達?程度でした。

(それで)少し幼稚な言葉だけど音楽家は音楽で語りなさいと言うでしょう。

辛い時に「友達募集」みたいにしてインスタグラムに載せて慰められるわけもないのでただ音楽で僕が辛いってことを見せたかったし、疎通したい気持ちが大きく現れたアルバムだったんでしょう。

 

 反面 [DOUBLEONOEL] のような時は少し軽い感じと先程おっしゃったし、実際にもそう感じました。アルバムの作業期間はどれくらいだったのか知りたいです。

 作業期間は3、4ヶ月かかりましたかね。

 

それで [18’S/S] をだして、自然にどのような転換点がありましたか?

 転換点があったというか、1枚目のアルバムを出して正規のコンサートを開催しましたが、コンサートの日は本当に感無量でした。初めて単独公演で、ムブホール500〜600人キャパなんですけど全部売り切れたんですよ。

一番前の列には僕が覚えていて、顔を見て、公演について来てくれるファンたちがいて、そういうことを見ながら力を出しました。

多くの事を空虚に感じてきたけど、(その瞬間)「僕はひとりじゃないんだ」という気がして、その日は本当に幸せでした。昔は幸せなことと不幸なことを別々に捉えることもしないから、ただ学校に通いながら平凡に過ごしていましたが、最近はちょっと幸せだった記憶をたくさんそのまましまっておこうとする癖が出来たようです。あの時のことを考えればつらい記憶にも耐えられるのかな?あの時のことを考えるとまだ少し幸せです。そして [18’S/S]を出す時、すでに正規2枚目のアルバムを夏頃に出すことを考えていまして、その時から作業を始めました。だから [DOUBLEONOEL]にはファンに向けた言葉も多くて、そのように自然とターニングポイントが出来たと思います。  

 

個人的に今回のアルバムは前半部と言える部分と、フューチャリングと共にした中盤、後半、とプロットが繋がりながらも雰囲気が少しずつ違うと思いました。アルバムの流れで意図された部分があるか知りたいです。

 まずは僕の生まれた2000年からスタートしたアルバムなのでストーリー性のあるアルバムです。 “00 (DOUBLE O)”は僕のアイデンティティを含んでいる曲で、その後いくつかのトラックはブラックナットさんやウォンジェさん、そして親しいラッパーなど多くのラッパーをフューチャリングに使いながらとても楽しい僕の姿を描きたかったんです。“1년 365일”や“야 (YA)” など中間トラックでは1年間での変化を。

“1년 365일”のはじめのバースでは昔ラップを一緒にした友だちについての話もあり、“야 (YA)”には昔の学校の先生を皮肉った歌詞もあり。そして年初に僕がIndigo Musicに入ったじゃないですか。それで “1, 2, 3, and 4”に移ってこの全てを終わらせて、1年ほど経って新しい家族に出会ったことを抽象的に見せたいと思いました。それからIndigo Musicに入ってより心の余裕が出来て、友達を気にかけることもできるようになった(ということをトラックを通じて抽象的に描きたかったです)。

友達が参加したトラックには“RedMGZN.CUM Pt.2”があって、そして “앵무새”には僕の親しいハンヨハンさんやギリボーイさんが参加しました。その後僕はまた寂しかった時間を経験しました。11月、12月になって夏になる前に苦しい時間がありましたが、その時に作った曲が“28평”, “가시덤불”, “長龍峻 (장용준)”というトラックです。見せたかったことのなかで最も大きかったのは“長龍峻 (장용준)”で、僕が死んで、最後のトラックの “GOD”でまた神に生まれ変わるけどこれが善か悪かはよく分からないということなんです。“長龍峻 (장용준)”で死んだのは自分の体と若さが死んだというよりも‘昨年[ELLEONOEL]を作ったチャン・ヨンジュンは死んだ’ということを際立たせたかった。28坪の家で寂しく死んでいく自分の姿を描きたかったりもしました。(なので)今回のアルバムは極端な感情のようすをたくさん表したものになったと思います。少し歌詞が足りないように思うんですけど、歌詞が足りない分は少し感じ取ってほしい感じのアルバムです。歌詞にあまり気を使わなかったし、終わりの方になると重苦しい感じもありますが、リリカルなアルバムではないですね。(代わりに)全体的なサウンド、流れる感じと蓋然性をキャッチして聞けば面白いアルバムでしょう。

 

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だからかな。前半、中盤、後半と分けられる区画に歌詞を書いた方法が少しずつ違うと感じたんです。前半部ではよりサウンド的な、ラップ自体のサウンドにより集中されたという感じがし、後半部には伝えたいことみたいなものがもうちょっとさらに感じられました。

はい。よく聴いてくれたんですね。完璧な解説だと思います(一同爆笑)

 

今回[DOUBLEONOEL]の場合、1曲を除いてスウォンシティーボーイさんが作業しました。彼はどんな方なのか、また一緒に作業するときは普段どのように作業するのか簡単に紹介してくださいますか。

 スウォンシティーボーイは97年生まれの水原に住む失業者で、僕にとってはかけがえのない兄であり友人で保証人以外ならなんでもしてあげられる仲です。保証はお母さんのでも書いちゃだめですから。作業するときはそのままパンツ一枚で座ってやるときもあって、(2人で)とても疲弊した暮らしをしてました。ガチの物乞いみたいに生きていましたが、実際は28坪だと2人で暮らすにはとても広いじゃないですか。でもほぼ全部汚くて使える空間が10坪ほどしかなくて、そんな風に生きてました。

それからは実家に戻って健康な暮らしをしましたが(かつての)疲弊した人生の中で得たもの、そして健康な生活の中で得たもの、それぞれたくさんあります。だから彼は僕に人生を教えてくれたありがたい人で、本当に親しい友達で唯一無二の兄で、一生一緒に音楽をしたい。*7

 

最初、ふたりはどう知り合ったんですか?

 サウンドクラウドで知ったんですけど、僕が先に連絡しました。

すごく笑えるんですけどアマチュア時代に僕がビートを作りたくて、知っているビートメーカに、「この人とこの人を紹介してほしい」と頼んだんですね。でも頼んだ人たちはみんな時間がなくて、スウォンシティーボーイだけ暇だったんですよ。それでその時は彼のことを知らなかったけど「この人に連絡してみて」とコンタクトを取りました。そうして最初にビートを撮って送ってくれたものを聞いたらすごく気に入ったのでそこから一緒にやることになりました。

 

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アルバムを作る時は本人のアイディアや構想がトラックのプロダクションにも非常に反映されるようですが、実際はどうなのか知りたいです。

 本当にお互いに100%参加して200%になると(できるようです)。お互いに100%ずつで取り組みました。聞いてみてわかると思うんですが僕らの手に入らない部分はありません。ドラムひとつひとつ区間を変えて、(その上)バースごとに構成が変わるトラックもあります。僕の手が届いていなければできないトラック、タイプビート*8のようなものを買うだけではできない試み、さらに細かく気を配っている(ことがあります)。カニエ・ウエストさんを尊敬しているあまり、聞いてみるとそういう部分において影響を受けているみたいです。

 

何かラップや歌詞を通して伝えたいことが常にあるようですが自分の話を打ち明ける上で喉の渇きみたいなものがあるんですか。

 喉の渇きはいつもあります。

感性的と思われがちだけどある意味理性的なところもあります。

“탈급식 Flow”という曲では 「自分たちが好きなことだけを特別なものとして嫌いなものをだめなものだとするなら俺はいっそ狂った人間になる」と歌詞を書いたんですが、これを様々なインタビューを通じても言いました。人々が望む答えがあるようです。

この人たちの頭の中には望む答えがあるようだし。でも僕は「それが正しい」とは思ってません。合ってる部分もあるでしょう?でもその人たちが100%合っているかというのは疑問で、皆んながそうだけどこの世の中に完璧な人はいないし、誰でもどんな信念を持とうが自分なりの矛盾というのが100のうち1つくらいはあります。完全な神様とかではないから。自分がどうだってことばかりを追求して、他人を理解できず、傷つけたら結局喧嘩に発展して、葛藤が生まれる世の中が個人的に切ないと思います。もっと他人に気を使うよりは自分の基準に合うようにそれに合えば幸せなら幸せなのに、まぁ他人と比べられて幸せになる人ならいざ知らず。他人と比べると毎日不幸になる人が強いて(不幸な生き方を)買って出ることもないでしょう。

でも、そういう人も沢山いて、もっと世間の人が自分だけの幸せとか何かを追求するようになればいいです。自由民主主義国家で罪を犯さない以上、各々の主観にケチをつける人は異常でしょ。自分がやりたいように生きる人生なのだから、自分の関心があること、自分の好きなことをして幸せに暮らすのがいいと思います。僕がどうであれ(そのような話が)役に立つと思って、僕の歌詞の中にメッセージを盛り込んでいるかといえば特にそういうのはありません。

悪口も正直ちょっと気をつけて欲しいなぁと思います。子どもの僕がこんなことを言って縁起でもないと思われそうですけど、率直に言って大韓民国という国には自分の年に甲斐性がある人があまりいないよう*9です。ゾッとさせるのは30歳すぎでも40歳すぎでもXとなんでもないふりをして家の隅でこっそりと他のIDでレスをつけ、二つの顔を持っている人もいるし、変なコミュニティを作る人もいるし、とても不思議です。そしてそんな人たちが憎悪を抱いて生きるよりはもう少し余裕を持って他人を理解して暮らすのが良いんじゃないかと。さっき言った変な人たちもそうだし、やられた人もそうだし、平凡な人たちもそういう風に暮らせばいいんじゃないですかね。それが健全な社会を作るのではないかと思います。

 

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またアルバムの話に戻ります。これまで公開したらアルバムを見ると特にアルバムアートワークが印象的でした。シンプルでとても洗練された印象を受けるんですが、アートワークの部分でも直接ディレクションに関わっているのですか。

 以前はアートディレクティングにもたくさん関与しましたが、今はイ・ホスという作家さんが毎回僕のアートワークをやってくれます。僕が関与する必要もないほどその方がお上手なので僕は(アートワークを)提示されていつもOKするだけ。その方もスウォンシティーボーイに次ぐ、ある意味ではアートの面でスウォンボーイになり得る僕の最愛の人だと思います。僕は(イ・ホスさんの作品が)大好きです。真心込めて僕のアートワークもとてもきれいにしてくださっているので、最近僕はアートディレクティングに関与していないです。

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それでは少し違う話に移りましょう。キッドミリさんとのCOZYBOYS、Redboyzのようなネクストジェネレーション、どこにいてもノエルさんの名が聞こえてきますが、実際にそう言われて自分でも注目されているということを実感していますか?

 体感します。でも他の人たちも皆んな上手です。最近世の中にラップが出来ない人はほぼいないんじゃないですかね。皆んなラップが上手いけどその中で…うーん…わかりません。そういうことは特に考えません。「ネクストジェネレーション?僕は伝説として残るつもりなんですけど、ネクストジェネレーションになんの関係が?」という考えです。後になって本当にしっかりキャリアが積み上げられ、1番尊敬するビンジノさん*10のように大韓民国のヒップホップに大きく貢献した人物として生き残りたいと強く欲しています。

 

それでは具体的な目標や遠くに思い描いている青写真があれば知りたいです。

 青写真というのは特にないです。野望の多い人間ではないんで。ただ幸せに音楽しながら僕が幸せだと思えるくらいは稼ぎたくて、誰かの責任を取れるくらいは稼いで、好きなことをしながら誰にも邪魔されない位置にいたいだけです。僕がいつも腹立たしく思う理由もこれなんです。僕は面白くて楽しみたくてこんなことをするのに。なぜこんなに他人は僕の幸せに関心が高くてたくさん意見してくるんでしょうか。

僕がもっと高い位置に居たなら、そいつらがなんと言おうと僕は自分の楽しいことをしながら金儲けをするでしょう。そのくらいの位置まで登りたいです。

だって僕らしくないことをして愛されたくありません。SMTMに出て演技して両親を連れて来て泣く、そんなことしたくもないし。僕はお母さんお父さんとただまぁ普通の家族と同じ関係です。テレビに出ているからといって自宅の両親とお昼を食べるたびに泣くわけでもなく、朝ごはんを食べるたびに泣くわけでもない。普通の家族や他の家と一緒です。ただチャン・ヨンジュンという人間。

 ザ・クワイエットさん*11が僕に言ったとても素敵な言葉があります。その時は自分にとって辛いときでした。彼に「兄さん、とても長く音楽をやられていますけどどうすれば兄さんのような立派な大人になれるでしょうか」と聞いてみました。「兄さんはあまりストレスを受けず人に気を使わずかっこよくやってますよね」と聞いたら答えてくれました。「君らしくないことで頑張って君ではない人間として生きるのはとても辛いだろ。」クワイエットさんは10年も音楽活動されててテレビにも多く出てるじゃないですか。でもその返事を聞いて僕もそう思いました。自分らしくないことで関心を集めて愛されるのは当然大変でしょう。だって他の人にそのように見せなきゃいけないから。だから僕はさっき言った通り、好きな人たちを集めることができて楽しみながら他人に邪魔されないくらいの人間になりたいです。

 

インディゴミュージックというレーベルの1番大きな魅力はなんですか?

 センス。

僕はインディゴでいちばん個性がないですよ(一同笑)結構なんでもOKする方だけど先輩たちは本当に個性がはっきりしてて、ジャッキー・ワイさんもそうだし。本当に個性がはっきりしている人たちの集まりなのでその中で僕は…(個性がない方です)。さっき言ったようにロマンというものも持たない人間なのでそんなのにも弱いタイプですが、そういう(各自が持っている)カラーをよく生かしたレーベルなのでは。僕が見ていなかった世界も彼らの視野を通じて見れるしそういう意味でとても頼もしい兄さん姉さん達です。

 

最近ラッパーとして作業し続けていますが、活動において最も原動力になるものがあるとすれば、それはどんなものですか?

 最近は(原動力が)あまりなくて休んでいます。昔のようには原動力がなくて、やることをやって、毎日同じことをやって来たのが積み重なっただけ。すごく虚しかったとは思いません。でも、最近は原動力があまりなくてバースもあまり書いていません。

 

個人的に “범퍼카”と“헬리콥터”がとても印象深かったんですよ。よく聴いていて、大好きなんですが、ちょっと音楽的なところで具現化したいことがあるのか気になったんです。

 実際、その曲に参加するようになったきっかけは僕のイメージを変えたいという気持ちが強かった、まさにそれでした。僕といえば少年、青少年、思春期。僕を思った時に出てくるキーワード。高等ラッパーに出てSMTMに出て泣き崩れた子。ややこんなものが多かったけどもともと僕がしたかった音楽は僕の持たれているイメージとはとても遠かったんです。それで、ハンヨハンさんが僕にはじめて“범퍼카”を頼んできた時「これめっちゃいい、こんなのクッソやりたかった!」と思ってヨハニヒョンにとても感謝*12してます。未だに僕をサウンドクラウドで探すとき“IDFWU (I Don’t Fuck With U)”で探す人はたくさんいます。あの時の音楽も僕がやったものだけど、当然本当に僕がしたい音楽を100%具現化していなかったと思います。その時はそれだけの能力しかなかったし、でも今は本当にやりたい音楽を具現化している気がして(僕をフューチャリングとして参加させて音楽的な部分を具現化させた)方々を愛してます。フューチャリングで参加したときは「こうやって人から望まれるものをもっと捻じ曲げたふりをして壊そう」という考えがかなり大きかったです。ほぼ文句かな。「××、お前らがなんと言おうと俺は俺のやりたいことをやるんだよ」というのをもう少し(強調したくて欲張りました)。そんなのを見せたい気持ちが強かったんです。

 

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では、普段悩みや考え事が多そうですが、少しでも気楽に休む時間があるのか休みの時は何をするのか知りたいです。

 最近は休みの時に有名な映画をたくさん観ています。と言っても映画マニアのようにかっこよく古典映画を探して観るわけではなく、IPTVあるじゃないですか。VODみたいなやつ。そういうのでもう1回観たりします。家で布団かぶって、猫たちと遊んで、ただ家でバトルグラウンドして、寝て、そんなのが僕の休日ですかね。あ、休みの過ごし方で変わったことがあるとしたらすごく早く寝てとても早く起きます。それが僕の精神的健康に繋がるようです。頭がすごくスッキリしますよ。もし精神的に辛いという方がこのインタビューを読んでいたなら、早く寝て起きる方法がお薦め致します。12時でも大丈夫です。12時に寝たら僕はだいたい8~9時に起きます。それですごく健康になれると思います。

 

私も一度やってみます。(一同笑)

それではインダビューはほとんど終わりなんですが。近いうちに決まっている活動計画がおありですか?

 近いうちに会いましょう。それ以上は言えないし。それで僕は金を儲けて消えるでしょう。今年度末は暖かいところで、外国へ行って新年を迎えるつもりです。*13それが今年の目標です。

 

最後に今回のアルバムをまだ聞いていない人たちに一言くださいますか?

 このアルバムを理解したい人は、聞いて、研究をたくさんして、そして愛してください。これは誰でもダウンロードできるアルバムです本当に。すごく充実しているし、ちょっと傲慢に聞こえるかもしれませんが、絶対このアルバムを詳しく分析して聞いて、銅だと思ったらその人の耳が不思議な位のアルバムなので。嫌な人あえて聞かないでください。ただ…まぁ実際聞いてくれるとお金入るんで有難いですけど。聞きたくないなら聞かなければいいし、皆さんには聞く・聞かないの自由があるから。賢く考えて自分にストレスのない方法でこのアルバムを楽しんで欲しいです。

 

私、先程うっかりしていて質問できなかったんですが。アルバム全体の構成もそうですが、曲ごとにディティールがとても凝っているじゃないですか。そのために作業するときも集中度が非常に多く要求されるようで「作る人もキツイ」というほどだったそうですが、実際はどうですか?

 今回のアルバムはキツかったです。(一同笑)だから休もうとしてます。今回のアルバムは本当にちょっと大変でした(笑)なぜこんなに大変だったとばかり言うのかというとこんなに準備を沢山したアルバムは初めてだからです。

フィジカルも出したし、ミュージックビデオも2つ撮ったし、インダビューもたくさんやったし、ライブも撮ったし(まだアルバムの発売と)一緒に出るものがたくさんあるのに本当に大変でした。そしてマネージャーさんたちにもとてもご苦労をおかけしましたし、皆さんの汗が混じって出たアルバムだったので力が抜けたようです。そしてもっと中身のぎゅっと詰まった人間になって次のアルバムも面白くして良いアルバムを作って戻って来たいと思います。

 

インダビューご苦労さまでした。お疲れ様でした。

 

 

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インタビュー : BLUC 블럭 (@bluc_) • Instagram photos and videos

 

写真 : Indigo Music IndigoMusic (@indigomusic_official) • Instagram photos and videos

 

*1:寝ていたんですね笑

*2:ここはかわいいので原文ママにしておく。

ヤン・ホンウォン a.k.a Young Bの方がノエルくんより1歳上、1999年生。最近は呼び捨てな気がしますけど

*3:2015年リリースの作品。

今も古びないサウンドと今考えると豪華すぎるラッパーが名を連ねるとんでもないアルバム。2017年のMuggles' Mansionでコクンさんを知ったが、こちらも最高にかっこいいアルバムです。コクンさんの広くディープな交遊関係が感じられる。ニューチャンプのラップ初めて聴いたわ…。早くノエルくんもコクンビート貰えるといいね!

*4:日本語の感性と韓国語の感性(감성)って常々ニュアンスが違う気がしていて。私は「感性」というとそれを働かせてなにかを探る意と解釈するのですが、 감성はその探している対象物を意味するようです。

*5:蓋然性というとあまり使わない良い回しの様な気がします。音楽における「蓋然性」とはその作品が偶然の産物ではなく計算して狙いがあって作られている、というニュアンスなのだと思います。

*6:この後も「僕は○○なスタイル」という言い回しがたびたび出てきます。面白くて可愛いからそのままにしておきました。

*7:私も二人のタッグが大好きなのでこれからもずっと一緒にやって欲しい!!!!!!

*8:【参考】

Murda Beatzが「Type Beat」を作っていたと明かす - FNMNL (フェノメナル)主にネット上でビートメイカーが売っているビートのこと。

*9:ここは日本のオタクもギクッとさせられるパンチライン

*10:それまでの先輩たちは「ヒョン」ですが、パロアルト・ビンジノ両氏は「씨」とされている。うむむ。

*11:いいこと言うよこの方は。

*12:私も!!!!ありがとうハンヨハン!

*13:flexでこんな歌詞あったな。まぁこのインタービューの10日後ぐらいに出るもんな