翔んで〇〇!

独断と偏見、散文詩

オリンピック競技場と国際フォーラムと

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国際フォーラムの興奮から1週間。

財政的にありがたくないが、ありがたいことに握手会や日本ツアーなど、夏のイベントへのさまざまな準備をさせていただいています。ええ



今回のコンサートを通して思ったことをまとめておく。

今回の来日は、本国でのカムバックであるBlock B 2016 Live BLOCKBUSTERを日本版として再現したものだった。
曲順、演出、衣装がほぼ一緒で、ソウルコンに行った私にとっては、4月のそれを反芻できたような気持ちになれた。

そのため、感想としてはだいたい過去記事と同じなのである。
2016-04-05 - 翔んで韓国

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日本向けツアーでは必ずある、愛嬌見せ目的のショートムービーが全くなくタイトな舞台進行に驚く。
あれは衣装替えとか、メンバーを休ませるために必要な余興なのだと思うが、どアイドル!といった演出で私は苦手だ。

「これ見てキャーキャー言っててね」みたいな演出側の意図に乗せられるのは食傷ぎみだったもので。
あと、日本ペンがなめられてるような感じがします。
だから、ソロ曲披露の前とか、バスタズとか、ソウルコンの演出そのまま持ってきてくれたのが本当にうれしかった。
2日連続で行ったから、充分見れたし幸せ~~


やはりソウルと日本とでは、空気感が違った。
それは本国と外国なんだし当たり前なんだろうけど、なぜだろうとこの1週間ずっと考えていた。

ソウルオリンピック競技場に集まっていた観客の半数は10代~20代前半の女の子たちだった。
だいたいが2人組以上のグループで楽しそうに週末のオリンピック公園に集う。

それに対し、日本では20代から30代、それ以上っぽい方々まで、幅広い年代の女性客がおり、お母さんと来ている若い子とか、1人参加らしき人など、ソウルの客層とは異なっていた。

そして客層の違いに伴ってなのか、会場の雰囲気も違うものを感じた。
ソウルコンは開演前から歓声が上がるなど、熱気に満ちており、1曲目からピリッとしていてメンバーたちも緊張感を帯びていた。
「ここでは失敗が許されない」「完璧なものを見せなければならない」というような気負い。

しかし日本では、少しゆるりとした雰囲気で開演を迎えるような、気がした。


韓国でアイドルを追うのは、主にまだ学生の世代の女の子たちだ。
大学卒業くらいにはアイドルを卒業しておかないと、痛い子だと認識されてしまう社会的風潮があるらしい。
彼女たちは一定年齢になったらアイドルファンを卒業して大人にならなければならないのだろう。

男子は30歳までに兵役に行かなければならない。
兵役を経験すると、愛国心をより厚く持つようになったり、両親を尊敬するようになったりして帰ってくるそうだ。
つまり兵役とは韓国でいう、成人男性への通過儀礼なのだろう。

先日、韓国の音楽を広くカバーしている音楽ライター・まつもとたくおさんがDOMMUNEで語っていたことが印象的だった。
曰く、韓国では「オタクは相当すごい」とのこと。
徴兵制があるから、一程度の年齢になると、アニメやらアイドルやらを卒業していく人がほとんどで、(もうそんな事やってらんねー!というメンタリティになるみたい。その会話ではアニメ音楽のことを主題にしていたのですが)
そっちで生計を立てる人はマイノリティなのだと。
聞いて納得、な話だ。

さらに、芸能人と違い、一般の男子たちはキャリアに差し支えないように就職前に徴兵に行くことが多いそうだから、
20代の前半には大人にならなければいけないということになる。
ということは、徴兵がない女子たちも、身近でそういう男子たちを見ている以上、いい年してアイドルに熱を上げていてはいけないという強制力に縛られるのではないか。

若いうちはやれ私はEXO派だ、かたやこっちはBlock Bよ!とアイドルに熱を上げていてもいいけれど、
そのタイムリミットは必ず迫ってくる。

その上、韓国においてアイドルグループは雨後のタケノコのごとく、毎年20とか30とかいう数生まれるという。
現役で活躍するのは300グループほどだとか。
“アイドル共和国”韓国、9年で244グループがデビュー H.O.T.からEXOまで : ニュース : KpopStarz 日本語版
少しデータが古いけれど。。

飽きたら次に行けばいいし、若いほど・新しいほど興味をひく。
アイドルたちは消耗品だ。
そんな状況の中でデビュー5年目のBlock Bが活躍しているということはなかなか奇跡的なことなのだ。
ちょっと変わった子達だしね


オリンピック公園集う女の子グループたちは、なんだか、週末に連れだってディズニーランドに行くかのような感覚でアイドルを観に来ているように見えた。
彼女たちにとっては青春期の思い出作りのひとつ。
でも、アイドル達にとっては失敗の許されない舞台。飽きられないように精いっぱいかっこよく、完璧にやる。
そんないびつな構造がオリンピック競技場には渦巻いていて、空気をピリッとさせていたのかな。

ちなみに「TOY」は実はアイドルのというかブロビの?そんな悲哀を表している曲で、
”飽きたらそっと捨てていいよ”とか”僕を利用して”とか、アイドルとファンとの関係について言い当てているとすると、とても悲しくなる。
よくジコは「ある男の愚かな愛について歌ったもの」というような曲紹介をしていたけれど、個人レベルのラブソングではないとすると切ないどころでは済まない。
youtu.be


…と、暗い気分になったところで、日本での活動に着目してみる。
前述したように日本のファン層はさまざま。そして本当にハマると、収入のある成人女性のほうが貢げ…(以下割愛)

韓国ほどの熱烈さはないけれど、日本ペンは彼らをあたたかく迎えているような気がする。
なぜなら、本気でブロビに肩入れしている人が多く集まっているから。ライブに遊びにくる感覚の子もいるにはいるんだろうけど、
「この日のために生きてきた!」という重い感情を抱いた人たちはやはり国際フォーラムのほうがかなりの割合を占めているんじゃないだろうか。
韓国アイドルは中毒性があるから。。日本なら自己責任でペンやってればいいから。タイムリミットないから。
ここが、オリンピック競技場との空気感との違いだと、わたしは思う。


とにかく、現状は厳しい。
しかしトレンドは変わり時代は移り変わる。徐々に韓国でも、「アイドルは子供が追うもの」という通念がゆるくなればいいなと思う。
近年、ジコはアーティストとして認められつつあるけれど、そういう感じで、アイドル風でも良いものは良いと、大人も胸を張って応援してほしい。
そうなればアイドルもより長寿命化してくるだろう。消耗品なんて悲しすぎやしないか。
もちろんこの問題には韓国社会の政治的・歴史的なものも関わってきてそんな簡単なものではないし、私の希望なんていち日本ペンの愚かなものに過ぎないけれど。
でも、年齢や新しさでなんでも決めてしまう風潮は少し変わりつつあるような気もしている。
パク・ジニョンさんとか見ているとね。
news.kstyle.com




ブロビも私たちもお互いに幸せになれればいい。
おじさんになってもかっこいい姿見せてよ。

そして日本に来て活動することが、彼らにとって稼ぎになればいいし、安らぎや楽しみになってくれればいい。苦痛でさえなければ頑張ってほしい。

K-POPアイドル、デビューするのにこれだけ費用がかかる |
↑こういったシビアな現実の中でね、推しに出会えたことを感謝!!!感謝感謝!ですよ。



長々と語ってしまいました。
はぁ すっきり。